川﨑圭太(かわさき けいた)
リシャールミルジャパン株式会社 代表取締役
--リシャール・ミルの腕時計は、最低でも500万円。平均価格が1000万円以上という超高級品です。そんな時計を買える“超富裕層”にリーチするのは困難だと思いますが。
1000万円以上の腕時計を普通に買える人ですから、確かに“超富裕層”ということができます。しかし、“富裕層”という言葉は金融業界が作った言葉で、実は、ものを売る側にとってはあまり意味がありません。いかに資産家であっても、高い時計を買わない人は買わない。私たちにとっては、あくまでも「リシャール・ミルを買う人」がお客様なのであって、“富裕層”を意識しているわけではないのです。
とはいうものの、私自身、「顧客は富裕層なのだから」という思いに縛られ、こんなにも高額な時計をどうやって売っていけばいいのか、悩み続けていました。当初は、「お金持ちといえば」といった気持ちで、百貨店の外商顧客に売り込みをしましたが、なかなか売れませんでした。
--メディア戦略で意識していることはあるでしょうか。
メディア戦略ということでいえば、自分自身もメディアに露出してみたり、様々なメディアプランニングを手探りでやっていきました。
顧客探しでもそうでしたが、そのような試行錯誤の末に辿り着いたのは、リシャール・ミルの本質をただひたすら訴えかけることでした。ただし、その訴えかけるべき顧客がどこの誰かが難しいところで、当初のマスメディアでは見えない顧客にリーチするのがとても困難でした。
結局は、リシャール・ミルの良さを出会った全ての人に直接語るという方法で、最初の顧客に繋がります。この場合、自分自身がメディアで、そこからはそのお客様の口コミです。最近では新聞、雑誌、テレビといったマスメディアでの紹介をきっかけに購入していただくことも増えましたが、やはり口コミのお客様が多い。
口コミといっても、直接紹介されてくる方ばかりではありません。会議や会食の席でリシャール・ミルの時計をつけている人を見て、密かに「あの人がつけている時計がほしい」と来てくださる方もいます。リシャール・ミルとはそういうブランドなのです。
--数千万円の時計でも売れるということは、それだけ認知度が上がったのでしょうか。
そうとも言えますが、やはりそれだけの価値がある時計だから売れるのです。数千万円の時計だと聞いて「家が買えてしまいますね」と言われることが多いのですが、リシャール・ミルのクオリティを知れば、それは決して高くないとわかります。
どんな製品でも売ることを前提にものづくりをしますが、リシャール・ミルでは理想の時計作りを徹底しています。たとえば最高品質のチタンやカーボンナノチューブを注入した高分子複合材料などの素材やネジの一つ一つに至るまで、リシャール・ミルのコンセプトを実現するために一から開発。その結果が数千万円という価格になっているのです。
リシャール・ミルのオーナーの多くは、当初は「高すぎる」と思っていても、一度腕にはめて生活し始めると、その徹底した品質に「決して高すぎない」とおっしゃって下さいます。
このように本物を理解して下さるリシャール・ミルのオーナーの方々のお陰で認知度がさらにあがってきたこともあり、新聞や雑誌に載った商品価格を見て「一桁間違ってませんか」と問い合わせもありますが、まずは「一桁違う」と思ってもらえれば成功だと思っています。そのような形でリシャール・ミルを知ってもらうことは、すでにリシャール・ミルを持っているお客様への優越感にも繋がります。リシャール・ミルのオーナーにはご自分の時計を自慢するような方は少ないのですが、知っている人から「スゴイですね」と言われると嬉しいですよね(笑)。ですから、雑誌などに載って認知度を高めるのは、現オーナーのためという側面も大きいかもしれません。
--リシャール・ミルはFacebookページも立ち上げていますが、こちらはどのように活用されているのでしょうか。
新製品/各モデルの紹介や、プロテニスプレイヤーのラファエル・ナダル、プロゴルファーのバッバ・ワトソンといったリシャール・ミルのファミリー(アンバサダー)の試合結果などを掲載しています。
スポーツ選手の活躍など興味のある人が多いトピックは、それまでリシャール・ミルを知らなかった人にリシャール・ミルを知ってもらういい機会になりますし、速報性があることはインターネットの強みです。一人の興味ある人が「いいね」や「シェア」をしてくれれば、その人がメディアとなって情報が拡散されていくという面白さがあり、口コミに近い分、我々のような商品には向いているかもしれません。とはいえ、SNSなどデジタルメディアの効果についてはまだまだ未知数です。
一方で、マスメディアで取り上げられることが多くなり、やはりマスの強みも感じています。先日、1億円の時計が売れたことが「めざましテレビ」で紹介されたのですが、そのときの反響の大きさは予想をはるかに上回るものでした。これは時計の価格のボーダーラインを上げるきっかけになりますし、理想は時計の価格のボーダーラインを取り払うことです。マンション広告を見て、「これでリシャール・ミルが買えるな」と思ってもらえるようになるといいですね(笑)。
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